食料品の消費税が1%になっても、生活は楽にならない

お金・投資

2026年8月5日、食料品の消費税を8%から1%に引き下げることが閣議決定されました。実施は2027年4月から2年間。1%分は中低所得者への給付で還元し、「実質ゼロ」にする設計だとされています。

家計にとってはありがたい話です。ただ——これで生活が楽になるかというと、私はそうは思いません。

※本記事は8月時点の閣議決定を受けたものです。関連法案は秋の臨時国会に提出予定で、まだ成立していません

まず、いくら浮くのか

総務省の家計調査では、2人以上世帯の食費はおよそ月8〜9万円です。仮に食料品に月8万円使っているとして計算してみます。

  • 現在(8%):税額は約5,900円
  • 減税後(1%):税額は約740円
  • 差額:月約5,200円/年約6万2,000円

決して小さくない金額です。外食は対象外なので実際はもう少し減りますが、それでも年間5万円前後は浮く計算になります。

ではなぜ、生活が楽にならないと思うのか。

値上げしたものを、企業はなかなか値下げしない

理由は単純です。値上げしたものを、企業はなかなか値下げしません。

税率が下がった分が、そのまま価格に反映されるとは限らないのです。

考えてみてください。企業にとって値上げは、清水の舞台から飛び降りるような決断です。消費者の反感を買うかもしれない。売上が落ちるかもしれない。他社に客を取られるかもしれない。それでも原材料費や人件費が上がり続けるから、覚悟を決めて価格を上げた。

そこまでして上げた価格を、「税金が下がったので元に戻します」と言えるでしょうか。

企業には、まだ吸収しきれていないコストがあります。円安による輸入価格の上昇、エネルギー価格、人件費、物流費。値上げしてもなお苦しい会社は少なくありません。減税分は、価格の据え置きという形で消えていく可能性が高いと私は見ています。

それを責めるつもりはありません。企業も生き残らなければなりませんから。ただ、「減税=家計が楽になる」と単純に期待しないほうがいいとは思っています。

そして、2年で終わる

もうひとつ忘れてはいけないのが、この減税は2年間の期限付きだということです。2029年3月末で終わり、元の税率に戻ります。

つまり——浮いたお金を生活費に組み込んでしまうと、2年後に困ります。月5,000円分だけ生活水準を上げてしまえば、戻ったときに苦しくなる。人は一度上げた生活水準を下げるのが本当に苦手です。

この2年間は、臨時収入があると考えるほうが安全だと思います。

じゃあ、どうするか

物価は今後も上がり続けるでしょう。減税があっても、実質的な負担は増えていく可能性が高い。だとすれば、打てる手は2つしかありません。

収入を増やすか、無駄な支出を減らすか。

副業は時間もやる気も必要で、子育てや介護をしている方には現実的でないことも多い。だとすれば、まず本業で稼ぐ力を高めること、そして支出の見直しが現実的な選択になります。

特に効くのは固定費です。

  • 通信費——格安SIMに変えるだけで月数千円(私は月2,000円以下にしました
  • 保険——本当に必要な保障か。公的制度でカバーされる範囲を知っておく(高額療養費の話はこちら
  • サブスク——使っていないものが必ずあります
  • ネット回線——スマホで足りるなら解約という選択も

私自身、車の保険・携帯・ネット回線・サブスクを見直して、月3万円の投資資金を作りました固定費は一度見直せば、その後ずっと効き続けます。食費を切り詰めるより、はるかにラクで確実です。

ライフプランを作ってみる

そしてもうひとつ、おすすめしたいのがライフプランを作ることです。

といっても難しいものではありません。これから何にいくら必要かを、ざっくり書き出すだけ。子どもの教育費、住宅、車の買い替え、そして老後。

ケアマネとして高齢の方と接していると、「お金がない」と言う方の多くが、必要額を計算していないと感じます。漠然とした不安だけが大きくなり、必要なサービスまで我慢してしまう。逆に、見通しが立っている方は落ち着いています。

金融庁のNISA特設サイトにあるシミュレーターなど、無料の道具はいくらでもあります。一度計算してみると、思ったほど絶望的ではないことが分かる場合も多いのです。

浮いたお金を、どこに置くか

固定費を見直して、月5,000円でも浮いたとします。それをどうするか。

私は投資に回すことをすすめます。理由は、物価上昇に現金では対抗できないからです。

食料品が値上がりしているということは、お金の価値が下がっているということです。銀行に預けたままでは、額面は減らなくても買えるものは減っていきます(インフレと投資の話はこちら)。

減税で浮く月5,000円。固定費見直しで浮く月1万円。この2年間で作った習慣は、減税が終わっても残ります。期限付きの制度を、期限のない習慣に変える——それがいちばん賢い使い方だと思います。

始め方は投資はいくらから?の記事に書きました。少額で構いません。

まとめ

  • 食料品の消費税が8%→1%へ(2027年4月から2年間・法案は未成立)。月8万円の食費なら年6万円ほどの計算。
  • ただし値上げしたものを企業はなかなか値下げしない。減税分が価格に反映されるとは限らない。
  • 2年で終わる制度。浮いた分を生活費に組み込むと、戻ったときに苦しくなる。
  • 打てる手は「収入を増やす」か「支出を減らす」。固定費の見直しがいちばん確実。
  • ライフプランを作る。必要額が分かるだけで、漠然とした不安は減る。
  • 浮いたお金は投資に回す。期限付きの制度を、期限のない習慣に変える。

※本記事は2026年8月時点の情報に基づく個人の考えであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。制度の内容は今後変更される可能性があります。最新の情報は政府・省庁の公式発表をご確認ください。投資は自己責任のもとで行ってください。

制度は変わります。物価も変わります。変わらないのは、自分で考えて備えた人が強いということだけです。

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