介護保険の限度額はどれくらい使える? 要介護1ならデイ週3回でも6割です

介護の知識

「要介護1と認定されました」。そう言われても、それで何がどれだけ使えるのか、すぐにはわからないと思います。ケアマネジャーから「居宅」「限度額」「単位」と聞いても、ピンとこない方も多いはずです。

先に結論を言うと、限度額の範囲内で、かなりのサービスが使えます。この記事では言葉の意味をひとつずつほどいてから、自宅で暮らす場合と、有料老人ホームに入った場合のモデルで、実際にどれくらい使えるのかを見ていきます。

「居宅」は、自宅だけのことではありません

介護保険でいう「居宅」は、ふだん暮らしている住まいのことです。自宅だけでなく、有料老人ホームやケアハウスの部屋も「居宅」に含まれます。サービス付き高齢者向け住宅に住んでいる方も、自宅と同じように在宅のサービスを使います。

「居宅」がつく言葉は、次のように使い分けられています。

  • 居宅サービス:住まいで暮らしながら使うサービス。デイサービスやヘルパーなど
  • 居宅介護支援:ケアマネジャーがケアプランを作る仕事のこと。「居宅のケアマネ」と呼ばれるのはこのためです
  • 施設サービス:特別養護老人ホームなどに入所して受けるサービス。居宅サービスとは別の枠です

この記事でお話しする「限度額」は、居宅サービスのためのものです。

限度額とは「1か月に保険で使えるサービスの上限」です

要介護度ごとに、1か月に介護保険で使えるサービスの量が決まっています。正式には「区分支給限度基準額」といい、ふだんは略して「限度額」と呼びます。

量は「円」ではなく「単位」で表されます。1単位はおよそ10円です(地域やサービスによって10〜11.40円)。

要介護度1か月の限度額いっぱいまで使ったときの自己負担(1割の場合)
要支援15,032単位約5,000円
要支援210,531単位約1万500円
要介護116,765単位約1万6,800円
要介護219,705単位約1万9,700円
要介護327,048単位約2万7,000円
要介護430,938単位約3万900円
要介護536,217単位約3万6,200円

押さえておきたいことが3つあります。

  • 自己負担は1〜3割:所得によって決まります
  • 限度額を超えた分は、全額(10割)自己負担:超えた部分には保険がききません
  • 回数の決まりはありません:「要介護1ならデイは週2回まで」といった決まりはありません。限度額の範囲内で、ケアプランで必要と判断されたサービスを組み合わせます

なお、要支援1・2の方は、デイやヘルパーが1回ごとではなく月ごとの定額になっていることが多く、仕組みが少し違います。この記事では、要介護の方を中心にお話しします。

住まいで使えるサービスは、こんなにあります

  • 通う:デイサービス(食事・入浴・体操・レクリエーションなど)、デイケア(リハビリが中心)
  • 来てもらう:ヘルパー(着替え・排泄・入浴などの身体介護と、掃除・買い物などの生活援助)、訪問看護、訪問リハビリ、訪問入浴
  • 泊まる:ショートステイ。家族が休みたいときや、用事で家を空けるときに数日泊まれます
  • 借りる:福祉用具のレンタル。手すり、歩行器、車いす、介護ベッドなど。車いすと介護ベッドは原則として要介護2以上が対象です

これらを、限度額の範囲内で組み合わせて使います。

何が何単位くらい? よく使うサービスの目安

サービス単位の目安自己負担(1割)の目安
デイサービス(7〜8時間)要介護1658単位/回約660円
デイサービス(7〜8時間)要介護3900単位/回約900円
デイサービス(7〜8時間)要介護51,148単位/回約1,150円
デイサービスでの入浴+40単位/回+約40円
ヘルパー 身体介護(20〜30分)244単位/回約240円
ヘルパー 身体介護(30分〜1時間)387単位/回約390円
ヘルパー 生活援助(45分以上)220単位/回約220円
訪問看護(30分〜1時間)823単位/回約820円
車いすのレンタル月500単位前後月約500円
介護ベッドのレンタル(付属品込み)月1,000単位前後月約1,000円

デイサービスは、よくある規模の事業所の単位数です。福祉用具のレンタル料は、商品によって違います。また、デイの昼食代やおむつ代などは保険の対象外で、別に支払います。

デイサービスの管理者をしている立場から言うと、1回1,000円前後の負担で、朝から夕方まで食事・入浴・体操、そして人との会話がそろいます。ご家族にとっては、その時間がそのまま自分の時間になります。

モデルケースで見てみます

実際にサービスを組み合わせると、限度額のどれくらいになるのか。2つのモデルで計算してみます(1単位10円、1割負担で計算しています)。

モデル① 自宅で一人暮らし・要介護1

サービス回数単位
デイサービス(入浴あり)週3回(月13回)9,074
ヘルパー 生活援助(掃除・買い物)週1回(月4回)880
歩行器のレンタル約250
置き型手すりのレンタル約350
合計約10,554

限度額16,765単位のうち、約63%です。自己負担は月約1万600円(ほかにデイの昼食代など)。

まだ6,000単位ほど余裕があります。デイを週4回に増やしても収まりますし、月に数日ショートステイを使うこともできます。週3回デイに通って、家事の手伝いを受けて、歩く道具を借りても、限度額の6割ほどです。

モデル② 住宅型有料老人ホーム・要介護3

住宅型の有料老人ホームでは、介護はホームに併設された事業所や外部の事業所と個別に契約して、自宅と同じ居宅サービスを使います。

サービス回数単位
ヘルパー 身体介護(朝の着替え、夜の着替えと排泄)1日2回(月60回)13,176
デイサービス(入浴あり)週2回(月9回)8,460
車いすのレンタル約500
合計約22,136

※ホームと同じ建物にある事業所からヘルパーが来る場合、単位が10〜15%ほど下がる仕組みがあります。ここでは10%下がるとして計算しています。

限度額27,048単位のうち、約82%です。自己負担は月約2万2,000円毎日2回ヘルパーに来てもらい、週2回デイに通っても、限度額に収まります。

ただし、家賃・管理費・食費は介護保険とは別です。金額はホームによって大きく違い、値上げされることもあります(親の介護費用を、あなたが背負い続ける必要はありません)。

また、「介護付き」の有料老人ホームは仕組みが違い、要介護度ごとの定額で介護を受けます。限度額の考え方は当てはまりません。

限度額は「ここまで使える上限」であって、使い切るためのものではありません。

ホームによっては、併設の事業所のサービスを限度額いっぱいまで組むところもあります。ケアプランに入っているサービスが本当に必要なのか、ケアマネジャーに理由を聞いてかまいません。説明するのも、ケアマネジャーの仕事です。

限度額の外で使えるものもあります

  • ケアプランを作ってもらう費用:自己負担はありません
  • 住宅改修(手すりの取り付け、段差をなくす工事など):限度額とは別に、20万円まで(1〜3割負担)
  • 福祉用具の購入(ポータブルトイレ、シャワーチェアなど):限度額とは別に、年10万円まで(1〜3割負担)

ひとつ注意があります。実際の請求では、職員の給料にあてる「処遇改善加算」などが上乗せされます。そのため、自己負担はこの記事の計算より1〜2割ほど高くなるのが一般的です。この加算は、限度額の計算には入りません。

1か月の自己負担が一定額を超えた場合は、「高額介護サービス費」で戻ってくることもあります。
高額介護サービス費は誰でも使える制度ではありません|該当するのはこんな方

まとめ

  • 「居宅」は自宅だけでなく、有料老人ホームやケアハウスの部屋も含む
  • 限度額は、要介護度ごとに決まった1か月の上限。要介護1なら16,765単位(1単位およそ10円)
  • 回数の決まりはない。限度額の範囲内で、必要なサービスを組み合わせる
  • 自宅で一人暮らしの要介護1なら、デイ週3回+ヘルパー+福祉用具で、限度額の6割ほど
  • 住宅型有料老人ホームの要介護3なら、毎日2回のヘルパー+デイ週2回で、限度額の8割ほど。ただし家賃や食費は別

「限度額」と聞くと、足りるのだろうかと不安になるかもしれません。ですが実際に組んでみると、必要なサービスは限度額の中に収まることがほとんどです。何をどれだけ使えるのか、わからないことは遠慮なくケアマネジャーに聞いてください。

※単位数は、2024年度の介護報酬改定にもとづく2026年9月時点のものです。事業所ごとの加算や地域によって、実際の金額は変わります。詳しくは担当のケアマネジャーにご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました