「要介護1と認定されました」。そう言われても、それで何がどれだけ使えるのか、すぐにはわからないと思います。ケアマネジャーから「居宅」「限度額」「単位」と聞いても、ピンとこない方も多いはずです。
先に結論を言うと、限度額の範囲内で、かなりのサービスが使えます。この記事では言葉の意味をひとつずつほどいてから、自宅で暮らす場合と、有料老人ホームに入った場合のモデルで、実際にどれくらい使えるのかを見ていきます。
「居宅」は、自宅だけのことではありません
介護保険でいう「居宅」は、ふだん暮らしている住まいのことです。自宅だけでなく、有料老人ホームやケアハウスの部屋も「居宅」に含まれます。サービス付き高齢者向け住宅に住んでいる方も、自宅と同じように在宅のサービスを使います。
「居宅」がつく言葉は、次のように使い分けられています。
- 居宅サービス:住まいで暮らしながら使うサービス。デイサービスやヘルパーなど
- 居宅介護支援:ケアマネジャーがケアプランを作る仕事のこと。「居宅のケアマネ」と呼ばれるのはこのためです
- 施設サービス:特別養護老人ホームなどに入所して受けるサービス。居宅サービスとは別の枠です
この記事でお話しする「限度額」は、居宅サービスのためのものです。
限度額とは「1か月に保険で使えるサービスの上限」です
要介護度ごとに、1か月に介護保険で使えるサービスの量が決まっています。正式には「区分支給限度基準額」といい、ふだんは略して「限度額」と呼びます。
量は「円」ではなく「単位」で表されます。1単位はおよそ10円です(地域やサービスによって10〜11.40円)。
| 要介護度 | 1か月の限度額 | いっぱいまで使ったときの自己負担(1割の場合) |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032単位 | 約5,000円 |
| 要支援2 | 10,531単位 | 約1万500円 |
| 要介護1 | 16,765単位 | 約1万6,800円 |
| 要介護2 | 19,705単位 | 約1万9,700円 |
| 要介護3 | 27,048単位 | 約2万7,000円 |
| 要介護4 | 30,938単位 | 約3万900円 |
| 要介護5 | 36,217単位 | 約3万6,200円 |
押さえておきたいことが3つあります。
- 自己負担は1〜3割:所得によって決まります
- 限度額を超えた分は、全額(10割)自己負担:超えた部分には保険がききません
- 回数の決まりはありません:「要介護1ならデイは週2回まで」といった決まりはありません。限度額の範囲内で、ケアプランで必要と判断されたサービスを組み合わせます
なお、要支援1・2の方は、デイやヘルパーが1回ごとではなく月ごとの定額になっていることが多く、仕組みが少し違います。この記事では、要介護の方を中心にお話しします。
住まいで使えるサービスは、こんなにあります
- 通う:デイサービス(食事・入浴・体操・レクリエーションなど)、デイケア(リハビリが中心)
- 来てもらう:ヘルパー(着替え・排泄・入浴などの身体介護と、掃除・買い物などの生活援助)、訪問看護、訪問リハビリ、訪問入浴
- 泊まる:ショートステイ。家族が休みたいときや、用事で家を空けるときに数日泊まれます
- 借りる:福祉用具のレンタル。手すり、歩行器、車いす、介護ベッドなど。車いすと介護ベッドは原則として要介護2以上が対象です
これらを、限度額の範囲内で組み合わせて使います。
何が何単位くらい? よく使うサービスの目安
| サービス | 単位の目安 | 自己負担(1割)の目安 |
|---|---|---|
| デイサービス(7〜8時間)要介護1 | 658単位/回 | 約660円 |
| デイサービス(7〜8時間)要介護3 | 900単位/回 | 約900円 |
| デイサービス(7〜8時間)要介護5 | 1,148単位/回 | 約1,150円 |
| デイサービスでの入浴 | +40単位/回 | +約40円 |
| ヘルパー 身体介護(20〜30分) | 244単位/回 | 約240円 |
| ヘルパー 身体介護(30分〜1時間) | 387単位/回 | 約390円 |
| ヘルパー 生活援助(45分以上) | 220単位/回 | 約220円 |
| 訪問看護(30分〜1時間) | 823単位/回 | 約820円 |
| 車いすのレンタル | 月500単位前後 | 月約500円 |
| 介護ベッドのレンタル(付属品込み) | 月1,000単位前後 | 月約1,000円 |
デイサービスは、よくある規模の事業所の単位数です。福祉用具のレンタル料は、商品によって違います。また、デイの昼食代やおむつ代などは保険の対象外で、別に支払います。
デイサービスの管理者をしている立場から言うと、1回1,000円前後の負担で、朝から夕方まで食事・入浴・体操、そして人との会話がそろいます。ご家族にとっては、その時間がそのまま自分の時間になります。
モデルケースで見てみます
実際にサービスを組み合わせると、限度額のどれくらいになるのか。2つのモデルで計算してみます(1単位10円、1割負担で計算しています)。
モデル① 自宅で一人暮らし・要介護1
| サービス | 回数 | 単位 |
|---|---|---|
| デイサービス(入浴あり) | 週3回(月13回) | 9,074 |
| ヘルパー 生活援助(掃除・買い物) | 週1回(月4回) | 880 |
| 歩行器のレンタル | 月 | 約250 |
| 置き型手すりのレンタル | 月 | 約350 |
| 合計 | 約10,554 |
限度額16,765単位のうち、約63%です。自己負担は月約1万600円(ほかにデイの昼食代など)。
まだ6,000単位ほど余裕があります。デイを週4回に増やしても収まりますし、月に数日ショートステイを使うこともできます。週3回デイに通って、家事の手伝いを受けて、歩く道具を借りても、限度額の6割ほどです。
モデル② 住宅型有料老人ホーム・要介護3
住宅型の有料老人ホームでは、介護はホームに併設された事業所や外部の事業所と個別に契約して、自宅と同じ居宅サービスを使います。
| サービス | 回数 | 単位 |
|---|---|---|
| ヘルパー 身体介護(朝の着替え、夜の着替えと排泄) | 1日2回(月60回) | 13,176 |
| デイサービス(入浴あり) | 週2回(月9回) | 8,460 |
| 車いすのレンタル | 月 | 約500 |
| 合計 | 約22,136 |
※ホームと同じ建物にある事業所からヘルパーが来る場合、単位が10〜15%ほど下がる仕組みがあります。ここでは10%下がるとして計算しています。
限度額27,048単位のうち、約82%です。自己負担は月約2万2,000円。毎日2回ヘルパーに来てもらい、週2回デイに通っても、限度額に収まります。
ただし、家賃・管理費・食費は介護保険とは別です。金額はホームによって大きく違い、値上げされることもあります(親の介護費用を、あなたが背負い続ける必要はありません)。
また、「介護付き」の有料老人ホームは仕組みが違い、要介護度ごとの定額で介護を受けます。限度額の考え方は当てはまりません。
限度額は「ここまで使える上限」であって、使い切るためのものではありません。
ホームによっては、併設の事業所のサービスを限度額いっぱいまで組むところもあります。ケアプランに入っているサービスが本当に必要なのか、ケアマネジャーに理由を聞いてかまいません。説明するのも、ケアマネジャーの仕事です。
限度額の外で使えるものもあります
- ケアプランを作ってもらう費用:自己負担はありません
- 住宅改修(手すりの取り付け、段差をなくす工事など):限度額とは別に、20万円まで(1〜3割負担)
- 福祉用具の購入(ポータブルトイレ、シャワーチェアなど):限度額とは別に、年10万円まで(1〜3割負担)
ひとつ注意があります。実際の請求では、職員の給料にあてる「処遇改善加算」などが上乗せされます。そのため、自己負担はこの記事の計算より1〜2割ほど高くなるのが一般的です。この加算は、限度額の計算には入りません。
1か月の自己負担が一定額を超えた場合は、「高額介護サービス費」で戻ってくることもあります。
高額介護サービス費は誰でも使える制度ではありません|該当するのはこんな方
まとめ
- 「居宅」は自宅だけでなく、有料老人ホームやケアハウスの部屋も含む
- 限度額は、要介護度ごとに決まった1か月の上限。要介護1なら16,765単位(1単位およそ10円)
- 回数の決まりはない。限度額の範囲内で、必要なサービスを組み合わせる
- 自宅で一人暮らしの要介護1なら、デイ週3回+ヘルパー+福祉用具で、限度額の6割ほど
- 住宅型有料老人ホームの要介護3なら、毎日2回のヘルパー+デイ週2回で、限度額の8割ほど。ただし家賃や食費は別
「限度額」と聞くと、足りるのだろうかと不安になるかもしれません。ですが実際に組んでみると、必要なサービスは限度額の中に収まることがほとんどです。何をどれだけ使えるのか、わからないことは遠慮なくケアマネジャーに聞いてください。
※単位数は、2024年度の介護報酬改定にもとづく2026年9月時点のものです。事業所ごとの加算や地域によって、実際の金額は変わります。詳しくは担当のケアマネジャーにご確認ください。

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