備蓄品の報告は、BCPに入れてしまえば一度で済む|介護サービス情報公表の報告項目と備蓄品チェックシートを無料配布

介護の知識

介護サービス情報公表システムに、備蓄品の報告が加わりました。令和7年度の末からです。

飲料水や食料品だけではありません。発電機の燃料の種類や、マスクの枚数まで聞かれます。

ここで提案があります。この報告項目を、そのままBCPの備蓄品の様式にしてしまうという方法です。

備蓄の数量は、どのみちBCPにも書きます。報告のたびに倉庫を数え直すのではなく、BCPの様式を報告項目と同じ並びにしておけば、BCPを更新したときが報告の更新、報告したときがBCPの見直しになります。管理する表が1枚減ります。

この記事では、何を報告するのかを整理したうえで、BCPに組み込む形をまとめます。記事の最後で、そのまま使えるチェックシートを無料で配布しています。

国も「BCPで把握しているはず」と書いています

この報告を案内した通知には、留意点としてこう書かれています。

本機能における報告(入力)内容の一部は、指定基準に基づき作成する業務継続計画(BCP)に基づき、介護施設等が把握している内容となっております

同じ通知のなかで、事業所の入力の負担を軽くするよう都道府県等に求めてもいます。新しく数えて出す数字ではなく、BCPにある数字を写すだけのはずという前提で作られた仕組みです。

逆に言えば、この報告で手が止まる項目があれば、そこはBCPが実際には使える状態になっていないところだということになります。

いつ、どこから報告するのか

  • ログインしたあと、業務メニューの「備蓄状況の報告」から入ります。年1回の基本情報・運営情報を報告する画面とは別です
  • 報告はいつでもでき、内容の更新も随時できます。年1回という決まりはありません
  • 正式には「介護施設等災害時情報共有システム」という、公表システムの中の機能です。自治体からの通知ではこの名前で書かれていることがあります

国は令和8年4月30日までに入力を終えるよう求めていましたが、この日を過ぎても報告はできます。まだの事業所は、今からで問題ありません。

BCPに入れておく項目

BCPの備蓄品の様式を作り直すなら、この並びにしておきます。報告画面と同じ順番です。まず災害対策から。

項目 書いておく内容
BCPの策定状況 なし/あり(PDFの添付は任意・2MBまで)
立地状況 災害レッドゾーン/イエローゾーン/それ以外。該当する場合はどの区域かを個別に選択
耐震化 旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)/新耐震基準
ブロック塀 なし/あり。ありの場合は安全確認と改修の状況を4択から
水害対策 なし/あり。ありの場合は内容を記述
非常用自家発電設備 なし/あり。ありの場合は発電容量・燃料の備蓄・稼働時間・燃料の容量と種類・不足時の対応・給油口の規格
飲料水 なし/あり。備蓄量(リットル)・次期更新予定日・何人×何日相当か
生活用水 なし/あり。受水槽・ポリタンク等それぞれの備蓄量(リットル)
食料品 なし/あり。備蓄量(日分)・次期更新予定日
簡易トイレ なし/あり。備蓄量(回分)
災害用備蓄倉庫 なし/あり
福祉避難所の指定 なし/あり

感染症対策は、BCPの策定状況と、次の5品目です。

品目 書いておく内容
医療用(サージカル)マスク 備蓄量(枚)/平時の使用量(枚)/感染拡大時の使用量(枚)
N95マスク
アイソレーションガウン
フェイスシールド
非滅菌手袋

数量はすべて小数点が使えません。日付は西暦です。BCPの様式も同じ単位にそろえておくと、写すときに迷いません。

つまずくのは、この3つ

発電機の給油口の規格

非常用自家発電設備を「あり」にすると、最後にこの項目が出てきます。外ネジか内ネジかワンタッチか、そして1.5インチから4インチまでのサイズを選びます。

これは、災害時に燃料を運ぶ側が、ホースを合わせるために必要な情報です。いくら発電機があっても、給油できなければ動きません。

茨城県と茨城県石油業協同組合がまとめた「大規模災害発生時における緊急給油の考え方」にも、給油口にはネジ込み式とワンタッチ式があってそれぞれ多数の規格があり、規格に合うアタッチメントを持参しないとホースを接続できないと書かれています。だからネジの呼称(内ネジか外ネジか)と口径を事前に把握しておくように、と求めています。

同じ資料では、大型のローリーは旋回に広いスペースが必要で、設置場所によっては給油車両が近づけない場合があるとも指摘されています。規格と合わせて、どこまで車が入れるかも見ておくとよさそうです。

この規格は書類を見ても分からないことがあります。現物を見に行くか、設置業者に聞くしかありません。一度調べてBCPに書いておけば、次からは見るだけで済みます。

食料品は「食数」ではなく「日分」

備蓄の一覧を作っている事業所では、「お粥100食、白飯50食、パン36食」のように食数で管理していることが多いと思います。

ところが入力欄は「○日分」です。入所者と職員の人数で割って、何日分になるかを出す必要があります。食数をそのまま入れると、桁がまるで違う報告になります。

BCPの様式には、食数の内訳と日分の両方を書いておきます。内訳は発注のときに、日分は報告のときに使います。

次期更新予定日は、どれの日付か残らない

飲料水と食料品には「次期更新予定日」を入れます。ところが備蓄品は、品目ごとに期限がばらばらです。アルファ米は5年、水は7年、レトルトは2年、といった具合です。

入力欄は1つしかないので、いちばん早く期限が来るものの日付を入れることになります。問題は、その日付がどれを指していたのか、画面に残らないことです。

ここもBCPの様式に品名・数量・期限・保管場所を並べておけば、翌年に探し直さずに済みます。

そして、この一覧を作る本当の値打ちは報告ではありません。買い替えの時期が一目で分かることです。期限の早い順に並べておけば、次にどれを入れ替えるのかが先に見えます。期限切れに気づいてあわてて買う、ということがなくなります。

備蓄品は、気づいたときには切れているものです。報告のついでに全部の期限が手元に並ぶのなら、むしろそちらが本体だと考えてもいいと思います。

備蓄の目安は「最低でも3日間」

どれだけ持っていればいいのか、という問いには、国の通知に手がかりがあります。

令和3年4月15日の通知(老発0415第1号ほか)では、ライフラインの途絶や物流の断絶に備え、入所者と職員の最低でも3日間の生活に必要な食料・飲料水・生活必需品・燃料を備蓄するよう努めることとされています。今回の備蓄報告の通知も、この考え方を引いています。

飲料水については、1人1日3リットルが一般的な目安とされています。これは防災分野で広く使われている数字で、介護の通知に書かれているものではありませんが、計算の出発点にはなります。

入所者30人、職員が災害時に10人残るとすれば、40人×3日×3リットルで360リットルです。2リットルのペットボトルなら180本、6本入りの箱で30箱になります。置き場所も含めて考える数字だということが分かると思います。

人数を数えるときは、入所者だけでなく、災害時に施設に残る職員も忘れずに含めてください。

報告・BCP・訓練を1本にする

BCPには研修と訓練も必要です。ここにも同じ項目が使えます。

備蓄が何日分あるか。発電機は何時間動くか。燃料が切れたらどこへ頼むのか。これは報告のための問いではなく、災害が起きた日に現場で出てくる問いです。

入力項目をそのまま職員に配り、答えられるかどうかを確かめる。答えられなければ、それが訓練で見つけるべき課題です。机上訓練の題材として、準備にほとんど手間がかかりません。

整理すると、こうなります。

  • BCPの様式を報告項目と同じ並びで作る
  • 棚卸しのときに様式を更新し、その数字をそのまま報告する
  • 同じ項目で訓練を行い、答えられなかったところを様式に反映する

1つの表で、報告とBCPの見直しと訓練の記録がつながります。BCPの研修と訓練については、避難訓練とBCPの訓練は、1回にまとめていいと感染症の研修と訓練は、BCPと1回にまとめていいでも書いています。計画のひな形と訓練シナリオも配布しています。

備蓄品チェックシートを配布しています

報告項目と同じ並びのチェックシートを作りました。項目と順番は、介護保険最新情報Vol.1494(令和8年4月13日/老高発0413第1号)に合わせてあります。上から埋めていけば、そのまま画面に写せます。

  • 災害用の備蓄品(飲料水・生活用水・食料品・簡易トイレ・備蓄倉庫・発電機の燃料と給油口の規格)
  • 感染症対策の備蓄品(5品目・備蓄量・平時と感染拡大時の使用量)
  • 棚卸メモ(品名・数量・期限・保管場所/17行)

A4で2ページです。備蓄品のことだけに絞ってあります。立地やBCPの策定状況など、物ではない報告項目は入れていません。棚卸しのときに持って回れる枚数にしたかったからです。

Word版は書き換えられるので、そのままBCPの備蓄品の様式として差し替えて使えます。

備蓄品チェックシートをダウンロード

全2ページ

まとめ

  • 介護サービス情報公表システムに備蓄品の報告が加わった。報告はいつでもでき、更新も随時
  • 通知にあるとおり、答えはBCPにあるはずの数字。報告のために数え直す作業にしない
  • BCPの備蓄品の様式を報告項目と同じ並びにしておく。更新が報告、報告が見直しになる
  • つまずくのは、発電機の給油口の規格・食料品の単位(日分)・次期更新予定日の3つ。一度調べて様式に書いておけば、次からは見るだけ
  • 同じ項目で机上訓練ができる。答えられないところが、そのまま課題になる
  • 品名・数量・期限の一覧が手元に残るので、買い替えの時期が先に分かる

報告はいつでもでき、更新も随時です。備蓄品の期限を確認するタイミングで、BCPと報告をまとめて片づけてしまうのがよいと思います。

参考:大規模災害発生時における緊急給油の考え方(茨城県・茨城県石油業協同組合)

参考:介護保険最新情報Vol.1494「介護施設・事業所等における災害時情報共有システムに係る平時における物資の備蓄状況等報告機能の追加について」(令和8年4月13日/老高発0413第1号)

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