金融庁の調査によると、NISA口座は2,820万口座まで増えました(2025年12月末時点)。成人のおよそ4人に1人が持っている計算です。
ただ、この数字には続きがあります。そのうち約3分の1は、2025年に一度も買付をしていません。口座は作ったけれど、そこで止まっているということです。
つまりみんなが投資をしているわけではありません。そのうえで、私はこう考えています。お金を持っている人で、投資をしていない人はまずいない。
この2つを並べると、見えてくることがあります。いま動き出すだけで、止まったままの3分の1より前に進めるということです。特別な才能も、まとまった元手も要りません。投資の成果を大きく左右するのは、始めた時期と、続けた長さだからです。
まだ多くの人が動いていない今だからこそ、始めた分だけ差がつきます。
お金持ちで、投資をしていない人はいません
ここで、ひとつ考えてみてください。お金が欲しいなら、お金を持っている人と持っていない人、どちらのやり方を真似すればいいでしょうか。
答えは明らかです。そして資産を築いた人を見ると、まず例外なく、何かしらの資産を持っています。
もっとも、本当のお金持ちは株式投資だけをしているわけではありません。不動産を持っている人、会社を経営している人——そちらのほうが、むしろ本来の姿でしょう。
ただ、よく見ると中身は同じです。日本で有名な創業者が巨額の資産を手にしたのも、自分の会社の株式を売却したからでした。会社経営者の資産の正体は、多くの場合自社の株式です。不動産オーナーも、持っている資産そのものが値上がりし、収益を生んでいます。
共通しているのは、給料で資産を作ったのではなく、資産を持っていたことです。
ここは正確に書いておきます。株を買えば創業者になれる、という話ではありません。彼らは資産を作った側の人です。私たちが真似できるのは、資産を持つという構造のほうです。
そして、会社を興すのも、不動産を買うのも、誰にでもできることではありません。まとまった資金も、時間も、覚悟も要ります。
その点、株式だけは違います。100円から、誰でも同じ構造に乗れます。お金持ちがやっていることのうち、唯一、今日から真似できるのがここなのです。
投資は、縁遠いものではありません
「投資は、お金に余裕がある人がやるもの」と思われがちです。でも実際は、ネット証券なら100円から買えます。ジュース1本より安い金額で、世界中の企業の株主になれるということです。
それに、私たちはもう投資に参加しています。公的年金の積立金は市場で運用されていますし、保険会社も集めた保険料を運用しています。あなたはもう投資をしているにも書いたとおりです。
違いは、知らないうちに参加しているか、自分の意思で参加しているかだけです。
NISA口座は、銀行と対面証券で開かない
ここは、はっきり書いておきます。NISA口座は、銀行の窓口や対面型の証券会社で開かないほうがいいです。
理由は単純で、そこで扱っている商品は手数料が高いからです。窓口で相談すれば、当然その会社が売りたい商品をすすめられます。親切に説明してもらえますが、その親切の分は手数料に乗っています。
手数料の差は、思っている以上に効きます。信託報酬が年1.5%の商品と年0.06%の商品では、同じ運用成績でも30年後に564万円変わります(月3万円・年5%で試算)。詳しくは投資信託は手数料で選ぶに書きました。
NISAは1人1口座で、金融機関の変更には手続きが要ります。最初にネット証券で開いておけば、その手間もかかりません。
いちばんいいタイミングは、いますぐ
「もう少し下がってから買いたい」——よく聞く言葉です。
ですが、いつ買えばいいかは、誰にも分かりません。プロでも分かりません。分かるなら、全員が金持ちになっています。
タイミングが読めない以上、できることは時間を長く取ることだけです。長く持つほど、途中の上下は平らになっていきます。だから、始めるのに一番いいタイミングは「いますぐ」ということになります。
もちろん、明日下がるかもしれません。それでも20年30年という単位で見れば、報われる可能性のほうが高いと考えています。
インデックス投資で、してはいけないこと
始めたあとは、やることよりもやらないことのほうが大事です。
- タイミングを計らない——「今月は高いから見送ろう」をやり始めると、続きません
- 一度決めたルールで、買い続ける——毎月◯円と決めたら、自動積立にして触らない
- 売ったり買ったりしない——手数料と税金がかかるだけで、ほとんど得をしません
- ずっと持っておく——値下がりした年こそ、売らずに持ち続ける
- 他人の投資成績を見ない——ここは特に大事です
最後の項目について補足します。SNSを見れば、自分より成績のいい人がいくらでもいます。それを見ていると、「もっといい投資先があるのでは」と思えてきます。そうして乗り換えを繰り返すのが、いちばん損をするパターンです。
投資の世界には、「いちばん成績がよかったのは、投資したことを忘れていた人と、亡くなっていた人だった」という有名な話があります。ある大手運用会社が口座を調べた結果として語られるものですが、この調査、実は出典がはっきりしません。言い伝えに近いものだと思っておいたほうがよさそうです。
ただ、言っている中身のほうは、実際のデータで裏づけられています。調査会社モーニングスターの分析によると、投資信託そのものの年平均リターンが8.2%だった10年間で、投資家が実際に手にしたリターンは年7.0%でした。年1.2ポイント、利益にして約15%分を取り逃がしている計算になります。
差を生んだのは、商品の良し悪しではありません。売り買いのタイミングです。同じ商品を持っていても、動いた人のほうが成績が悪かった。しかも値動きの大きい商品ほど、この差は開いていました。
忘れていられるなら、それがいちばんいいということです。
では、いつ売るのか。お金が必要になったときです。多くの場合、それは老後になります。それまでは、あることを忘れていていいくらいでちょうどいいと思っています。
その前に——投資より先にやること
ここまで書いておいて何ですが、いきなり口座を開くのは順番が違います。先にやることが4つあります。
① 借金があれば、返済が最初
これは例外なしです。投資のリターンは不確実ですが、借金の金利は確実にかかります。特にカードローンやリボ払いの金利は、投資の期待リターンをはるかに超えます。返済そのものが、確実で高利回りの運用だと考えてください。
② 1か月の生活費を把握する
意外と、自分が毎月いくらで暮らしているかを知らない方が多いです。ここが分からないと、いくら投資に回せるかも、いくら備えればいいかも決まりません。すべての土台になる数字です。
③ 生活費の6か月分を、現金で確保する
いわゆる生活防衛資金です。月25万円で暮らしているなら150万円。病気や失業、家族の介護で収入が減っても、すぐには困らないための備えです。何か月分にするかは人によります。会社員で収入が安定しているなら3か月でもよいですし、自営業や、支える家族がいるなら1年分あってもいい。この現金があるから、相場が下がっても投資を売らずに済みます。
④ 毎月いくら回せるかを決める
①〜③を終えて残ったお金が、投資に回せる余剰資金です。その範囲でNISA枠を使っていきます。無理な金額にしないことが、続けるコツです。金額の決め方は投資はいくらから?収入の何%?にまとめました。
まとめ
- NISA口座は2,820万口座まで増えたが、約3分の1は1年間まったく動いていない
- 本当のお金持ちは不動産や会社経営もしているが、共通点は「給料」ではなく「資産を持っていること」。会社も不動産も誰にでもは無理だが、株式だけは100円から同じ構造に乗れる
- ネット証券なら100円から。年金も保険も市場で運用されており、私たちはすでに参加している
- NISA口座は銀行・対面証券で開かない。手数料の高い商品をすすめられるため。1人1口座なので最初が肝心
- 始めるのにいちばんいいタイミングは「いますぐ」。いつ買うべきかは誰にも分からないから
- してはいけないのはタイミングを計る・売買を繰り返す・他人の成績を見ること。売るのはお金が必要になったとき
- 投資より先に、借金の返済/生活費の把握/生活費6か月分の現金/回せる金額の決定。この順番を守る
口座を作っただけで止まっている人が、3分の1もいます。逆にいえば、いま設定をひとつ済ませるだけで、その3分の1より前に出られるということです。難しいことをする必要はありません。動くか、動かないかだけの差です。
難しい判断は要りません。順番どおりに土台を作って、金額を決めて、自動積立にする。あとは忘れて、自分の生活を楽しむ。それで十分だと思っています。
参考:金融庁「NISA口座の利用状況調査(2025年12月末時点)」/Morningstar「Mind the Gap 2025」
※本記事は2026年8月時点の個人の考えに基づく情報提供であり、特定の金融商品や金融機関への投資・口座開設を推奨するものではありません。制度の内容は改定される場合があります。投資は自己責任のもとで行ってください。

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