デイサービスで働いていて、こんなふうに思ったことはありませんか。「今日も無事に一日が終わった」「言われたことはちゃんとやった」——もちろん、それは大切なことです。
でも、もしデイサービスが誰から何を求められているのかを知ったら、自分のやるべきことが少し違って見えてくるかもしれません。デイの管理者として、そして一人の働く人間として、伝えたいことを書きます。
デイサービスは、3つの立場から期待されている
まず押さえておきたいのが、デイサービスには3つの異なる期待が寄せられているということです。そしてこの3つは、必ずしも一致しません。
① 利用者本人が求めるもの
お風呂に入りたい。体力を落としたくない。友達に会いたい、話し相手がほしい。——本人にとってデイは「自分の楽しみと生活の場」です。
② ご家族が求めるもの
日中安全に見ていてほしい。仕事に行っている間、安心したい。少し休みたい。——ご家族にとっては「介護負担を支えてくれる場」です。厚生労働省の調査でも、家族の介護負担軽減はデイの大きな役割とされています。
③ 国(制度)が求めるもの
そして忘れてはいけないのが国の視点です。介護保険制度が求めているのは「自立支援・重度化防止」——つまり、ただ預かるのではなく、その人が良くなること・悪化を防ぐことです。
実際、国の資料では「通所介護の計画書の目標が運動機能中心に偏り、ADL・IADLの改善につながっているのは2〜3割程度」といった課題も指摘されています。「預かる場所」から「良くする場所」へ——これが制度の求める方向です。
この3つが少しずつ違うからこそ、現場では考える力が要るのです。
国の求めることを知ると、事業所の売上が見えてくる
ここは、ぜひ多くの職員さんに知ってほしいところです。
介護の世界では、国が「やってほしい」と考えていることに、加算がつくのが通例です。個別機能訓練、口腔・栄養の取り組み、科学的介護(LIFE)への対応——これらはすべて、国が推し進めたい方向だから報酬で評価されているのです。
つまり、国が何を求めているかを把握し、情報を集めることが、そのまま事業所の売上につながります。そして事業所の売上は、私たちの給料や職場環境の原資になります(この仕組みは処遇改善加算の記事で詳しく書きました)。
「制度の話は上の人が考えること」——そう思っていませんか。もちろん判断するのは経営層ですが、現場が制度を理解しているかどうかで、加算が取れるかどうかは大きく変わります。記録の書き方ひとつ、計画の目標設定ひとつが、加算の要件を満たすかどうかを左右するからです。
「言われた仕事」を「考える仕事」に変える
では、明日から何をすればいいのか。3つの期待に照らして考えてみましょう。
- 本人の期待に応える:レクを「時間を埋める作業」にしない。その人が何を喜ぶかを考える。「この人はこういう話が好きだ」と気づける職員は、それだけで価値があります。
- 家族の期待に応える:連絡帳や報告は、家族との信頼の窓口です。「変わりありません」で終わらせず、その日の小さな変化や笑顔を伝える。それが「この事業所に任せたい」につながります。
- 制度の期待に応える:機能訓練やケアの目的を理解して関わる。「なぜこの運動をするのか」を説明できる職員と、ただ号令をかける職員では、成果がまるで違います。
どれも、特別な才能は要りません。「言われたからやる」から「なぜやるのかを考えてやる」へ——その一歩だけです。
稼働率を上げるのは、結局「本人と家族の満足度」
制度や加算の話をしてきましたが、事業所の経営を根っこで支えているのは、やはり稼働率です。そして稼働率を上げる一番の力は、広告でも営業トークでもありません。今通ってくださっている利用者さんとご家族の満足度です。
もちろん、ケアマネジャーとの連携は大切です。私自身ケアマネとして紹介する立場でもありますが、正直なところ——「あそこは楽しいと言って通っている人がいる」という事実に勝る紹介理由はありません。
ケアマネは、担当する利用者さんに合う事業所を必死で探しています。そのとき頼りにするのは、実際に通っている方の声と、その方の変化です。「最近表情が明るくなった」「デイの日を楽しみにしている」——そんな話を聞けば、次の利用者さんも安心して紹介できます。
逆に、どれだけ営業に来られても、利用者さんが「行きたくない」と言う事業所を紹介することはできません。目の前の一人を満足させることが、次の一人を連れてくる。地味に見えて、これがいちばん確実な集客なのです。
だからこそ、あなたが今日かけたその一言、書いたその連絡帳が、事業所の未来をつくっています。現場の仕事は、そのまま経営に直結している——そう考えると、日々の関わりの意味が少し変わって見えませんか。
自分の価値を高める人が、結局いちばん強い
厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、これからの時代、会社に利益をもたらせる人材、社会から求められる人材が生き残ります。介護も例外ではありません。
そのために欠かせないのが自己研鑽です。制度改定の情報を追う、資格を取る、他事業所の取り組みを知る、研修に出る。日々の業務に追われていると後回しになりがちですが、ここに時間を使えるかどうかで、5年後の自分は大きく変わります。
そしておすすめしたいのが、自分のロードマップを作ることです。
- 1年後:何ができるようになっていたいか(例:機能訓練の目的を説明できる、記録の質を上げる)
- 3年後:どんな資格・役割を持っていたいか(例:介護福祉士、ケアマネ受験、リーダー)
- 5年後:どんな働き方をしていたいか(例:管理者、専門分野を持つ、収入をいくらに)
道筋が見えていれば、日々の学びが「やらされる勉強」ではなく「自分のための投資」に変わります。働き方の土台についてはこれからの介護士に求められることの記事にも書きました。
学び続けるにも、現場で動き続けるにも、体が資本です。私は忙しい日のたんぱく質補給に、プロテインを活用しています。
まとめ
- デイサービスには本人(楽しみ・生活)・家族(負担軽減・安心)・国(自立支援・重度化防止)という3つの期待がある。
- 国が求めることには加算がつく。制度を知り情報を集めることが、事業所の売上と自分の給料につながる。
- 現場の記録や目標設定の質が、加算の可否を左右する。制度は「上の人の話」ではない。
- レク・連絡帳・機能訓練——「なぜやるのか」を考えるだけで、仕事の質は変わる。
- 自己研鑽とロードマップ(1年・3年・5年)で、自分の価値を高めていく。
※介護報酬・加算の要件は改定や事業所の体制により異なります。最新の情報は厚生労働省の公式情報や勤務先でご確認ください。
言われたことをこなすだけの一日も、考えながら過ごす一日も、同じ8時間です。でも1年後、5年後には大きな差になります。あなた自身が、あなたの人生を一番素敵にできる人です。

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