良い目標は、今日の行動を変える|成長し続ける目標の立て方

お金・投資

年の初めに目標を立てたのに、気づけば忘れていた。そんな経験は、多くの人にあると思います。

目標が続かないのは、意志が弱いからとは限りません。目標の立て方そのものが、行動につながらない形になっていることが多いのです。

前回の記事「『足るを知る』は、あきらめることじゃない」では、他人と比べるのをやめ、自分にとって一番大事なことを知る、という話をしました。今回は、その大事なことに向かってどう進むか、目標の立て方を考えます。

正しい目標は、今日の行動を変える

目標を立てたら、まず一つだけ確かめてください。その目標を立てたことで、明日の行動は何か変わりますか。

「健康になりたい」「お金を貯めたい」。どちらも大切な思いですが、これだけでは明日の行動は何も変わりません。行動が変わらなければ、目標は「いつかそうなったらいいな」という願いのまま終わってしまいます。

  • 「健康になりたい」→「毎朝10分歩く」
  • 「お金を貯めたい」→「給料が入った日に、決めた額を先に積立口座へ移す」

こう言い換えると、今日から何をすればいいかがはっきりします。心理学の目標設定理論でも、「ベストを尽くす」のようなあいまいな目標より、具体的で、少し難しい目標のほうが成果につながりやすいとされています。

ケアプランの目標にも、同じことが書かれている

ケアマネジャーは、介護が必要な方と一緒に、ケアプランの目標を立てる仕事をしています。そのケアプランの書き方について、国は次のように示しています。

居宅サービス計画書の記載要領(厚生労働省)より

目標は、抽象的な言葉ではなく、誰にもわかりやすい具体的な内容で記載する。

かつ、目標は、実際に解決が可能と見込まれるものでなくてはならない。

援助の内容についても、「いつまでに、誰が、何を行い、どのようになるのか」を決めることとされています。介護の世界では、目標は「行動が決まるもの」でなければならないのです。これは、自分の目標を立てるときにも、そのまま使える考え方です。

目標は「どんな自分に成長したいか」から考える

では、何を目標にすればいいのでしょうか。

目標というと、「年収〇〇万円」「〇〇に勝つ」のような結果を思い浮かべがちです。ですが、結果は景気や運、相手など、自分ではどうにもならないものにも左右されます。届かなかったときに、何も残らなかったように感じてしまいます。

教育心理学では、目標を大きく2つに分けて考えます。

  • 習得目標:できるようになること、自分が成長することを目指す目標
  • 遂行目標:人より上に立つこと、人からよく評価されることを目指す目標

習得目標を持つ人のほうが、失敗しても粘り強く取り組み続けやすいとされています。遂行目標は、いつも誰かとの比較になります。前回の記事でいえば、他人の物差しで自分を測ることです。

良い目標とは、取り組むこと自体に価値がある目標です。資格の勉強をして試験に落ちても、身についた知識は残ります。毎日歩いて目標の距離に届かなくても、歩く前より体力はついています。目標に向かって取り組んでいる限り、自分は成長しているのです。

だから、目標を立てるときは「何を手に入れたいか」より先に、「どんな自分に成長したいか」を考えます。それがはっきりすれば、結果だけに振り回されなくなります。

期限は、成長の速さを決める

目標に期限がないと、人はどうしても先送りします。「仕事は、使える時間いっぱいまで膨らむ」というパーキンソンの法則があります。期限が1年なら1年かけて、3か月なら3か月でやり終えようとするのが人間です。

つまり、期限は成長の速さを決めます。同じ目標でも、期限を短くすれば、それだけ速く成長できます。

ただし、短ければいいわけではありません。無理な期限は「どうせ無理だ」というあきらめを生みます。ケアプランの記載要領が「実際に解決が可能と見込まれるもの」と書いているのは、そのためです。

ケアプランでは、目標を「長期目標」と「短期目標」に分けます。長期目標に向かって踏むべき段階を短期目標にし、それぞれに期限を付けます。自分の目標でも、この分け方が使えます。

  • 長期目標:1年後に、どんな自分になっていたいか
  • 短期目標:そのために、3か月後にどこまで進んでいたいか
  • 今週の行動:短期目標のために、今週なにをするか

1年先の目標だけだと、今日やることがぼやけます。3か月と今週まで分けると、期限が近くなり、行動が変わります。

目標は、常にバージョンアップする

目標は、一度立てたら終わりではありません。

ケアマネジャーは、利用者さんの暮らしを定期的に確かめ(モニタリング)、目標が今の状態に合っているかを見直します。体調が変われば、目標も変えます。立てた目標を守ることより、目標が今の行動を変え続けているかのほうが大事だからです。

自分の目標も同じです。3か月ごとに、次のことを振り返ってみてください。

  • この目標で、今の行動は変わったか
  • 3か月前より、自分は成長したか
  • 次の3か月で、どんな自分になっていたいか

達成できたら、もう一段上の目標に上げます。届かなかったら、期限か目標の大きさを調整します。目標を下げることは、失敗ではありません。行動を止めないための調整です。

こうして目標をバージョンアップし続けると、小さな成長が積み重なっていきます。成長した自分が、次の目標を立てる。この繰り返しが、このシリーズのテーマである「複利」です。

今日できる、目標の立て方4ステップ

  1. どんな自分に成長したいかを、1文で書く(前回書き出した「一番大事なこと」が出発点です)
  2. 長期目標を決める:1年後の姿を、誰が見てもわかる具体的な言葉で書く
  3. 短期目標と今週の行動に分ける:3か月後の到達点と、今週やることを1つ決める
  4. 見直す日を決める:3か月後の日付を、カレンダーに入れておく

例:お金の不安を減らしたい場合

成長したい自分:お金のことで不安にならず、家族との時間を大切にできる自分

長期目標(1年):生活費3か月分の貯金がある

短期目標(3か月):毎月の支出を把握し、先取りで積み立てる仕組みを作る

今週の行動:先月使ったお金を、ざっくり書き出してみる

例:体力を保ちたい場合

成長したい自分:年を取っても、行きたい場所へ自分の足で行ける自分

長期目標(1年):休まずに30分歩ける

短期目標(3か月):週5日、15分歩く習慣ができている

今週の行動:朝、家の周りを10分歩く

まとめ

正しい目標とは

今の行動を変えるもの。

取り組むこと自体に価値があり、どんな自分に成長したいかがはっきりしているもの。

期限で成長の速さを決め、常にバージョンアップしていくもの。

目標を立てても、動き出せなければ何も変わりません。分かっているのに、なかなか手をつけられない。そんな経験もあると思います。次の記事では、「すぐやる人と、取り組めない人の差」について考えます。

あなた自身が、あなたの人生を一番素敵にできる人です。

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