「健診でコレステロールが高いと言われた」「薬を飲み始めたけれど、生活でも何かできることはないか」——そんなことを気にされている方は少なくないのではないでしょうか。
ケアマネジャーとして高齢者の方と関わっていると、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が基準値を外れた状態)の診断を受けている方にとても多く出会います。薬でコントロールしている方が多い一方で、「運動で改善できないか」という声もよく聞きます。今回は、ウォーキングがコレステロールに与える影響について、現在分かっていることをお伝えしたいと思います。
悪玉・善玉コレステロールとは
コレステロールには大きく2種類あります。
- LDL(悪玉コレステロール)——血管壁に蓄積して動脈硬化を進める可能性があるとされています。数値が高いほどリスクが上がると考えられています
- HDL(善玉コレステロール)——余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す役割があるとされています。数値が高いほど血管を守る働きが期待できます
「悪玉を下げて、善玉を上げる」——これが脂質管理の基本的な考え方の一つです。そして、この両方に有酸素運動がプラスに働く可能性があると考えられています。
有酸素運動がコレステロールに働きかける仕組み
ウォーキングなどの有酸素運動を続けると、体の中でどんな変化が起きるのでしょうか。
有酸素運動では体脂肪がエネルギーとして使われます。この過程で血液中の脂肪(中性脂肪)が分解されやすくなり、LDL(悪玉)の材料となる物質が減ると考えられています。同時に、HDL(善玉)を増やす酵素の働きが活性化されるという研究結果も報告されています。
つまり、「悪玉が減り、善玉が増える」という理想的な方向に体が動いていく可能性があるわけです。
どのくらい続ければ効果が出る?
気になるのは「どれくらいやれば変わるの?」という点ですよね。研究によって差はありますが、12週間以上の有酸素運動を継続することでLDLが3〜6mg/dL低下したという報告があります。
また、歩数との関係についても興味深いデータがあります。1日8,000歩以上を習慣にすることで、脂質異常症の発症リスクが有意に低下するという研究結果も出ています。
動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2022年版)では、1日30分以上・週3日以上の有酸素運動が推奨されています。特別な器具は必要なく、ウォーキングで十分対応できる運動量です。
現場で感じること——「薬だけ」より「薬+習慣」の方がいい気がする
これは私の個人的な感覚に過ぎませんが、薬でコレステロールをコントロールしながらも、ウォーキングなど軽い運動を続けている方のほうが、体調が安定しているように見えることが多い気がしています。
もちろん、薬が必要な状態であれば医師の指示に従うことが大前提です。ただ、「薬を飲んでいるから運動しなくていい」ではなく、薬と生活習慣の両方で体を整えていくという考え方が、長い目で見て健康につながるのではないでしょうか。
担当の医師に「運動してもいいですか?」と聞いてみることも、大切な一歩だと思います。多くの場合、「ぜひやってください」という答えが返ってきますよ。
まとめ
- 有酸素運動は体脂肪を燃焼させ、LDL(悪玉)を減らしHDL(善玉)を増やす方向に働くと考えられている
- 12週間以上続けることでLDLが3〜6mg/dL低下したという研究報告がある
- 1日8,000歩以上が脂質異常症リスク低下に関連するデータがある
- ガイドラインの目安は「1日30分以上・週3日以上」の有酸素運動
- 薬との併用も含め、運動開始前に医師に相談するのがベスト
コレステロールの数値が気になりだしたとき、「薬を飲むしかない」と諦めないでほしいと思っています。毎日少し歩くだけで、体は変わる可能性があります。ぜひ今日の一歩から始めてみてください。あなた自身が、あなたの人生を一番素敵にできる人です。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、医療行為の代替となるものではありません。コレステロール値の管理や運動の開始については、必ず担当医にご相談ください。

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