握力1kgの価値は年間2万円以上?——ケアマネ研修で聞いた「握力はお金」という話

お金・投資

あなたは自分の握力を測ったことがありますか。「握力なんて、学生の体力測定以来」という方がほとんどだと思います。

先日、ケアマネジャーの更新研修を受けてきました。その中で講師の方が紹介していた数字に、私は思わず身を乗り出しました。「握力1kgには、お金の価値がある」というのです。

握力1kg=男性で年間約2.7万円、女性で約4.3万円

研修で紹介されたのは、こんな試算です。握力が1kg下がるごとに、年間の医療・介護にかかる費用が、男性で26,824円、女性で43,461円増える——。

つまり握力が5kg落ちれば、女性なら年間20万円以上の負担増につながる計算です。「握力はお金と言い直してもいい」という講師の言葉が、強烈に印象に残りました。

※この金額は研修で紹介された試算であり、研究の条件によって数字は変わり得ます。ただ、「筋力の低下が医療費・介護費の増加に直結する」という方向性は、多くの研究が示しているところです。

なぜ「握る力」がお金に関係するのか

不思議に思いませんか。手を握る力と、医療費・介護費。一見つながらないこの2つを結ぶのが、「握力は全身の筋力のバロメーター」という事実です。

国立長寿医療研究センターは「握力は活力のバロメーター」として、握力が全身の健康状態を映す指標であることを解説しています。握力と歩行能力には正の相関があり、握力が強い人は足腰もしっかりしている傾向があります。さらに厚生労働省研究班の研究では、握力の経年低下が大きいほど死亡リスクが有意に上昇することも報告されています。

握力が落ちている=全身の筋肉が落ちている。筋肉が落ちれば、歩けなくなり、転びやすくなり、医療と介護のお世話になる場面が増える。だから「握力はお金」なのです。

現場で見る「握力が落ちた後」の現実

ケアマネとして現場にいると、この流れを嫌というほど目にします。ペットボトルのフタが開けられなくなる。買い物袋が持てなくなる。杖が必要になる。そして転倒——。

高齢者にとって転倒からの入院は、多剤処方の記事でも書いたとおり、10日間で約7年分の老化に相当する筋肉を失うと言われるほど大きな出来事です。一度この連鎖に入ると、元の生活に戻るのは本当に難しい。「筋力の貯金」があるかないかで、その後の人生とお金が大きく変わるのです。

握力を鍛える=自立を守る=お金を守る

逆に言えば、筋力を保てば「自立した生活」を長く続けられ、年間数万円規模の費用を抑えることにつながります。しかも握力・筋力のトレーニングは、特別な道具なしで今日から始められます。

  • グーパー運動:手を強く握って、パッと開く。テレビを見ながら30回。
  • タオル絞り:乾いたタオルを雑巾のようにギュッと絞る。
  • 買い物袋を自分で持つ:日常の動作こそ最高のトレーニングです。
  • スクワットやウォーキング:全身の筋力の底上げに。高齢者向けの体操プログラムも無料で公開しています。

そして筋肉の材料になるのが、たんぱく質です。歳を重ねるほど食が細くなり、たんぱく質が不足しがちになります。私は手軽に補えるプロテインを毎日の習慣にしています。

まとめ

  • 研修で聞いた試算では、握力1kgの低下で医療・介護費が年間約2.7万円(男性)〜4.3万円(女性)増える。
  • 握力は全身の筋力のバロメーター。歩行能力と正の相関があり、低下は死亡リスク上昇とも関連。
  • 握力低下→転倒→入院→さらに筋力低下、の負の連鎖は現場で本当によく見る。
  • グーパー運動・タオル絞り・日常動作+たんぱく質で、今日から「筋力の貯金」を。

※本記事は一般的な情報提供です。持病のある方が運動を始める際は、かかりつけ医にご相談ください。

自分の加齢のためにも、家族のためにも、そして自分が望んだ人生を最後まで歩むためにも——筋トレは「未来の自分への仕送り」です。あなた自身が、あなたの人生を一番素敵にできる人です。

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